結論からいいますと、障害年金(厚生年金保険法等)と傷病手当金(健康保険法)は、重複する部分については両方を受給することはできません。重複する分のみ調整の対象となり、障害厚生年金が優先されます。
調整となる傷病は同一傷病で、障害年金は業務上外を問わず、傷病手当金は原則業務外の傷病となります。障害年金のご相談をいただくお客様の中には、これから傷病手当金の申請を検討されている方、既に受給されている方、受給を終了された方等、色々といらっしゃいます。傷病手当金のみならず調整の規程はややこしいですので、お客様との面談の際、どの部分に該当しどのような調整が予定されているのか等、それぞれのお立場にあった的確なアドバイスをできるよう心がけています。
簡単ではありますが、まず傷病手当金について触れておきます。
傷病手当金とは
傷病手当金は、被保険者が病気やけがのために働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して通算で1年6ヵ月支給されます。 ただし、休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されません。
支給される金額
ざっくりいいますと、傷病手当金は「日単位」で計算され、1日につき(月の給料÷30)×3分の2となります。計算方法は下記の通りです。
1日当たりの金額:【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】(※)÷30日×(2/3)
(支給開始日とは、一番最初に傷病手当金が支給された日のことです。)
(※)支給開始日の以前の期間が12ヵ月に満たない場合は、次のいずれか低い額を使用して計算します。
ア:支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
イ:標準報酬月額の平均額
・30万円:支給開始日が令和7年3月31日以前の方
・32万円:支給開始日が令和7年4月1日以降の方
支給期間の考え方

出典:厚生労働省
調整について
傷病手当金と同じ傷病で「障害厚生年金」の受給があるときは、傷病手当金は受給されません。ただし、障害厚生年金の額(同時に障害基礎年金の受給があるときはその合計額)の360分の1が傷病手当金より低いときは、その差額が受給されます。傷病手当金は日単位で計算されますので、同じく障害厚生年金の額も日単位に合わせて計算されるということです。

出典:全国健康保険協会宮崎支部
最後に注意点としまして傷病手当金を受給後、さかのぼって障害厚生年金等を受給することになった場合
→傷病手当金の受給期間と重複する部分について、傷病手当金の一部または全部が返還となります!

逆に重複する部分がなければ、調整の対象外で両方とも受給できるということです。