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日本年金機構の資料、障害年金業務統計(令和4年度決定分)によると、診断書種類別支給件数は、精神障害・知的障害が全体の66.8%と最も多くなっています。
そこで、必ず押さえておきたいのが「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」です。
私の状態で障害年金は、受給できるのだろうか?
何か目安になるものは、あるのだろうか?
と不安になる方も、たくさんいらっしゃると思います。
私も当時、障害年金の申請を決意した当初は、体調が一番悪いときで色々と調べる気力もなく、このガイドラインの存在を知りませんでした。これから「精神の障害用の診断書」で障害年金の申請を検討されている方は、このガイドラインを一つの参考資料としてご覧ください。
*障害等級の目安に当てはまれば、必ずこの等級として決定されるわけではありません。
*一部加筆・修正しています。
精神の障害に係る等級判定ガイドライン(平成28年9月)
第1 趣旨・目的
障害基礎年金について新規に申請を受けて決定を行った事例のうち、不支給と決定された件数の割合が都道府県間で異なることから、各都道府県における障害基礎年金の認定事務の実態を調査したところ、精神障害及び知的障害の認定において、地域によりその傾向に違いがあることが確認された。
この調査結果を踏まえ、認定に地域差による不公平が生じないようにするため、精神障害及び知的障害に係る障害等級の判定を行う際に用いるガイドライン(以下「ガイドライン」という。)の策定を目的として、「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」が平成27年2月に設置され、8回にわたる議論を経て、平成28年2月にガイドラインに盛り込む内容が取りまとめられたところである。
このガイドラインは、精神障害及び知的障害に係る認定において、障害等級の判定時に用いる目安や考慮すべき事項の例等を示すものであり、これにより、精神障害及び知的障害に係る認定が「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」(平成14年3月15日庁保発第12号。以下「障害認定基準」という。)に基づき適正に行われるよう改善を図ることを目的とする。
第2 ガイドラインの適用
- 対象給付
このガイドラインの対象とする給付は、障害認定基準により、国民年金法施行令(昭和34年政令第184号)別表並びに厚生年金保険法施行令(昭和29年政令第110号)別表第1及び別表第2に規定する障害の程度の認定を行う給付とする。 - 対象傷病
このガイドラインの対象とする傷病は、障害認定基準第3第1章第8節精神の障害に定める傷病とする。
ただし「てんかん」については、てんかん発作の重症度や頻度等を踏まえた等級判定を行うことについて障害認定基準で規定していることから、このガイドラインの対象傷病から除く。 - ガイドラインの運用
このガイドラインは、前記1の対象給付であって、かつ前記2の精神の障害に係るものの等級判定を行う際に用いることとする。
(1)新規請求時
(2)再認定時
(3)請求者から額改定請求があったとき 等
第3 障害等級の判定
障害認定基準に基づく障害の程度の認定については、このガイドラインで定める後記1の「障害等級の目安」を参考としつつ、後記2の「総合評価の際に考慮すべき要素の例」で例示する様々な要素を考慮したうえで、障害認定診査医員(以下「認定医」という。)が専門的な判断に基づき、総合的に判定する(以下「総合評価」という。)。
総合評価では、目安とされた等級の妥当性を確認するとともに、目安だけでは捉えきれない障害ごとの特性に応じた考慮すべき要素を診断書等の記載内容から詳しく診査したうえで、最終的な等級判定を行うこととする。
- 障害等級の目安
診断書の記載項目のうち、「日常生活能力の程度」の評価及び「日常生活能力の判定」の評価の平均を組み合わせたものが、どの障害等級に相当するかの目安を示したもの(表1参照)。
《表の見方》
・「程度」は、診断書の記載項目である「日常生活能力の程度」の5段階評価を指す。
・「判定平均」は、診断書の記載項目である「日常生活能力の判定」の4段階評価について、程度の軽いほうから1~4の数値に置き換え、その平均を算出したものである。
・表内の「3級」は、障害基礎年金を認定する場合には「2級非該当」と置き換えることとする。
《留意事項》
障害等級の目安は総合評価時の参考とするが、個々の等級判定は、診断書等に記載される他の要素も含めて総合的に評価されるものであり、目安と異なる認定結果となることもあり得ることに留意して用いること。
診断書(裏)のここを見ましょう!!
<日本年金機構:障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領より>
日常生活能力の制限の度合いを適切に把握するため、入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居などにより、支援が常態化した環境下で日常生活が安定している場合であっても、単身でかつ支援がない状況で生活した場合を想定し、その場合の日常生活能力について記載すること。
2. 総合評価の際に考慮すべき要素の例
診断書の記載項目(「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」を除く。)を5つの分野(現在の病状又は状態像、療養状況、生活環境、就労状況、その他)に区分し、分野ごとに総合評価の際に考慮することが妥当と考えられる要素とその具体的な内容例を示したもの(表2参照 )
3. 等級判定にあたっての留意事項
(1)障害等級の目安
① 「日常生活能力の程度」の評価と「日常生活能力の判定」の平均との整合性が低く、参考となる目安がない場合は、必要に応じて診断書を作成した医師(以下「診断書作成医」という。)に内容確認をするなどしたうえで、「日常生活能力の程度」及び「日常生活能力の判定」以外の診断書等の記載内容
から様々な要素を考慮のうえ、総合評価を行う。
② 障害等級の目安が「2級又は3級」など複数になる場合は、総合評価の段階で両方の等級に該当する可能性を踏まえて、慎重に等級判定を行う。
(2)総合評価の際に考慮すべき要素
① 考慮すべき要素は例示であるので、例示にない診断書の記載内容についても同様に考慮する必要があり、個別の事案に即して総合的に評価する。
② 考慮すべき要素の具体的な内容例では「2級の可能性を検討する」等と記載しているが、例示した内容だけが「2級」の該当条件ではないことに留意する。
③ 考慮すべき要素の具体的な内容例に複数該当する場合であっても、一律に上位等級にするのではなく、個別の事案に即して総合的に評価する。
(3)総合評価
① 診断書の記載内容に基づき個別の事案に即して総合的に評価した結果、目安と異なる等級になることもあり得るが、その場合は、合理的かつ明確な理由をもって判定する。
② 障害認定基準に規定する「症状性を含む器質性精神障害」について総合評価を行う場合は、「精神障害」「知的障害」「発達障害」の区分にとらわれず、各分野の考慮すべき要素のうち、該当又は類似するものを考慮して、評価する。
(4)再認定時の留意事項
ガイドライン施行後の再認定にあたっては、提出された障害状態確認届(診断書)の記載内容から、下位等級への変更や2級(又は3級)非該当への変更を検討する場合は、前回認定時の障害状態確認届(診断書)や照会書類等から認定内容を確認するとともに、受給者や家族、診断書作成医への照会を行うなど、認定に必要な情報収集を適宜行い、慎重に診査を行うよう留意する。
第4 既に障害給付等を受給している者への対応
(1) ガイドライン施行時において、障害基礎年金及び障害厚生年金など第2の1に示す給付を受給している者(以下「既認定者」という。)にガイドラインを最初に適用して等級判定を行う時期は、既認定者が額改定請求をした場合等を除き、ガイドライン施行後に初めて到来する再認定時とする。
(2) 既認定者の再認定にあたっても第3の3(4)により診査を行うが、ガイドライン施行前の認定も障害認定基準及び認定医の医学的知見に基づき認定されたものであること等を踏まえ、既認定者の障害の状態が従前と変わらない場合1については、当分の間、等級非該当への変更は行わないことを基本とする。
- 基本は障害状態確認届(診断書)における「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定の平均」を目安とするが、最終的には診断書等の全体の情報で総合判断する。 ↩︎
第5 ガイドライン施行前に決定した認定について
ガイドライン施行前の障害年金請求で不支給となった者や再認定によって減額改定や支給停止となった者等から、ガイドライン施行後新たに障害年金請求や額改定請求、支給停止事由消滅の届出があった場合は、ガイドラインを用いて等級判定を行う。
(ガイドライン施行前の障害年金請求等に係る障害の程度の認定は、障害認定基準に基づき、適正な手続きの下で決定されたものであることから、一律にガイドラインに当てはめた再診査は行わない。)
第6 ガイドラインの実施状況の検証及び見直し等
ガイドライン施行後の認定状況については、地域差が改善された適切な認定がなされているか等の観点から、ガイドラインの運用、認定結果等について検証を行い、施行後3年を目途に、必要に応じてこのガイドラインに基づく認定の見直し等を検討する。
上記のほか、障害認定基準の改正などを踏まえ、必要に応じて見直しを行う。