目次
人格障害と神経症の説明です。
*一部加筆・修正しています。
人格障害
認定要領
- 人格障害は、原則として認定の対象とならない。
<人格障害は、本当に対象外なのか?>
過去の不服申立の裁決事例で、「境界性パーソナリティ障害」だけは、精神病の病態を示している場合、認定対象とするとされています。(あくまでもごく一部の例だと考えられます)
精神病の病態とは?
明確な定義はないものの・・・、「精神病の病態を示しているもの」についての理解として、統合失調症ないし、そううつ病と共通の臨床症状に限らず、精神疾患が示す臨床症状を呈し、それによる精神障害の程度が「精神病水準」にあること。
平成21年(厚)第404号 平成22年5月31日裁決(一部抜粋)
精神病水準では、現実検討能力が重篤に侵され、自らの力でその疾病を治す能力がその分阻害され、その結果、典型的な精神病の場合と同様に独力で日常生活・社会生活を営むのに多大な困難を生じている、というものである。
ICD-10とは?
ICD とは、International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problemsの略で、日本語では「国際疾病分類」と呼ばれます。
ICDは、国際的に使用されており、作成しているのは世界保健機関(WHO)です。
この国際的な分類があることで、世界中の病因や死因を分析することができ、日本でも医学的な分類として、医療機関での記録や管理のために活用されています。
ICD-10は、1990年にWHO総会において承認され、日本では1995年より適用されています。
障害年金における診断書(精神の障害用)は、ICD-10コード:精神及び行動の障害 「F00-F99」を記載する欄が設けられています。
*てんかんは「G40」です。
成人のパーソナリティおよび行動の障害(ICD-10)
- F60 特定のパーソナリティ障害
- F60.0 妄想性パーソナリティ障害
- F60.1 統合失調質パーソナリティ障害
- F60.2 非社会性パーソナリティ障害
- F60.4 演技性パーソナリティ障害
- F60.5 強迫性パーソナリティ障害
- F60.6 不安性(回避性)パーソナリティ障害
- F60.7 依存性パーソナリティ障害
- F60.8 他の特定のパーソナリティ障害
- F60.9 パーソナリティ障害、特定不能のもの
F60.3 情緒不安定性パーソナリティ障害
.30 衝動型
.31 境界型
気分の波が激しく感情が極めて不安定で、良い・悪いなどを両極端に判定したり、強いイライラ感が抑えきれなくなったりする症状をもつ人は「境界性パーソナリティ障害」と呼ばれています。
「境界」という言葉は、「神経症」と「統合失調症」という2つの心の病気の境界にある症状を示すことに由来します。
- F61 混合性および他のパーソナリティ障害
- F62 持続的パーソナリティ変化、脳損傷及び脳疾患によらないもの
- F62.0 破局的体験後の持続的パーソナリティ変化
- F62.1 精神科的疾病後の持続的パーソナリティ変化
- F62.8 他の持続的パーソナリティ変化
- F62.9 持続的パーソナリティ変化,特定不能のもの
- F63 習慣および衝動の障害
- F63.0 病的賭博
- F63.1 病的放火(放火癖)
- F63.2 病的窃盗(盗癖)
- F63.3 抜毛症[抜毛癖]
- F63.8 他の習慣および衝動の障害
- F63.9 習慣および衝動の障害、特定不能のもの
- F64 性同一性障害
- F64.0 性転換症
- F64.1 両性役割服装倒錯症
- F64.2 小児期の性同一性障害
- F64.8 他の性同一性障害
- F64.9 性同一性障害、特定不能のもの
- F65 性嗜好障害
- F65.0 フェティシズム
- F65.1 フェティシズム的服装倒錯症
- F65.2 露出症
- F65.3 窃視症
- F65.4 小児性愛
- F65.5 サドマゾヒズム
- F65.6 性嗜好の多重障害
- F65.8 他の性嗜好障害
- F65.9 性嗜好障害、特定不能のもの
- F66 性の発達と方向づけに関連した心理および行動の障害
- F66.0 性成熟障害
- F66.1 自我異和的な性の方向づけ
- F66.2 性関係障害
- F66.8 他の心理的性発達障害
- F66.9 心理的性発達障害、特定不能のもの
- F68 他の成人のパーソナリティおよび行動の障害
- F68.0 心理的理由による身体症状の発展
- F68.1 症状あるいは能力低下の意図的産出あるいは偽装、身体的あるいは心理的なもの(虚偽性障害)
- F68.8 他の特定の成人のパーソナリティおよび行動の障害
- F69 特定不能の成人のパーソナリティおよび行動の障害
神経症
認定要領
「原則」あれば「例外」ありということで、神経症のみがただし書きされています。
- 神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。
なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10(国際疾病分類)による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること。
<神経症はなぜ原則対象外なのか?>
~ 過去の裁決や通達より ~
・自己治癒可能性がある(治そうと思えば治すことができる)
・通常その症状が長期にわたって持続することはないと考えられている
・疾病利得という概念がある(病気になることで得られる利益)
神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害(ICD-10)
- F40 恐怖症性不安障害
- F40.0 広場恐怖[症]
- F40.1 社会[社交]恐怖[症]
- F40.2 特異的(個別的)恐怖症
- F40.8 他の恐怖症性不安障害
- F40.9 恐怖症性不安障害、特定不能のもの
- F41 他の不安障害
- F41.0 パニック障害(エピソード[挿間]性発作性不安)
- F41.1 全般性不安障害
- F41.2 混合性不安抑うつ障害
- F41.3 他の混合性不安障害
- F41.8 他の特定の不安障害
- F41.9 不安障害、特定不能のもの
- F42 強迫性障害
- F42.0 強迫思考あるいは反復思考を主とするもの
- F42.1 強迫行為(強迫儀式)を主とするもの
- F42.2 強迫思考と強迫行為が混合するもの
- F42.8 他の強迫性障害
- F42.9 強迫性障害、特定不能のもの
- F43 重度ストレス反応[重度ストレスへの反応]および適応障害
- F43.0 急性ストレス反応
- F43.1 心的外傷後ストレス障害
- F43.2 適応障害
- F43.8 他の重度ストレス反応[重度ストレスへの反応]
- F43.9 重度ストレス反応[重度ストレスへの反応]、特定不能のもの
- F44 解離性(転換性)障害
- F44.0 解離性健忘
- F44.1 解離性遁走(フーグ)
- F44.2 解離性昏迷
- F44.3 トランスおよび憑依障害
- F44.4 解離性運動障害
- F44.5 解離性けいれん
- F44.6 解離性知覚麻痺および感覚脱失
- F44.7 混合性解離性(転換性)障害
- F44.8 他の解離性(転換性)障害
- .80 ガンザー症候群
- .81 多重人格障害
- .82 小児期あるいは青年期にみられる一過性解離性(転換性)障害
- .88 他の特定の解離性(転換性)障害
- F44.9 解離性(転換性)障害、特定不能のもの
- F45 身体表現性障害
- F45.0 身体化障害
- F45.1 鑑別不能型[分類困難な]身体表現性障害
- F45.2 心気障害
- F45.3 身体表現性自律神経機能不全
- F45.4 持続性身体表現性疼痛障害
- F45.8 他の身体表現性障害
- F45.9 身体表現性障害、特定不能のもの
- F48 他の神経症性障害
- F48.0 神経衰弱
- F48.1 離人・現実感喪失症候群
- F48.8 他の特定の神経症性障害
- F48.9 神経症性障害、特定不能のもの